失敗の科学 失敗から学習する組織 学習できない組織
目次
失敗から学ぶ航空業界 学ばない医療現場
正しいと信じて疑わないことの危険性について
西暦2世紀ギリシアの医学者ガレノスが広めた医療法の一つである瀉血(人間の体内から意図的に血を抜き取る排毒療法)を広めたときこの治療法は当時の医学界の最高の頭脳を持った者たちが善意で広めたものであった。ただ今考えればそれには全くの効果がないばかりか、逆に患者にとって容態を悪化させる原因になりかねない行為であることは明白である。
当時の医師たちがそれに気づかなかった原因は単純だ。
その方法が正しいかどうか一度も検証しなかった。
患者が回復すれば瀉血のおかげだと錯覚し、もし患者がしんでしまったら、
もう手に負えない状況だったと解釈する。この状態をクローズドループ現象という。もともと制御工学で用いられる言葉であるがここでは”失敗にかかわる情報が放置されたり曲解されたりして、進歩につながらないこと”を指す。結果瀉血治療法は18世紀まで行われていた。これは医師に思いやりや技術が不足していたからではなく。単に間違っているということを一切疑わなかったからである。
大切なのは失敗をすること自体なのではなくそこから何を学ぶか
100年前人間の医療ミスによる死亡者数の比率と飛行機の人為的ミスによる死亡者数はどちらが多かっただろうか、航空パイロットを志望するものたちの25パーセントがなくなってしまうという死と隣り合わせだった航空業界は現在安全性の高い運航を続けている。200万のフライトのうち事故になった機体は0.48機。この数字には失敗から学ぶ航空業界の姿勢が表れている。問題があったときにすぐに原因を明らかにし、その原因を10日間以内に報告すれば処罰されない規定になっている。またパイロットや航空業界すべての人がアクセス可能な今までのマニュアルが用意されておりそれには、事故が起きてしまった日時、原因、対策方法など様々な安全を守る対策が講じられている。
我々は自分自身から失敗を隠す
失敗を認めるのは容易なことではない。宿題を忘れてしまったことだとか、約束を守れなかったことだとか、自分で決めたルールを破ってしまうこととか。何かミスをおかして自分の自尊心が傷つくことを恐れる。社会全体でみても自分の失敗は言い訳をするが、人の失敗を言い立てたりする風潮はないだろうか。
自分が失敗したらミスを認め改善するというのは簡単なことではないつぎでは後半に迫り完結させたいと考える
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