あなたの常識は正しい?『奇跡のリンゴ』に学ぶ、不可能を可能にする問題解決思考
「もう、無理かもしれない…」
今、あなたが挑戦していることに対して、分厚い壁を感じて立ち止まってしまってはいませんか?
周りからは「そんなの絶対不可能だよ」と言われ、自分でも「やっぱりダメなのかも」なんて、心が折れそうになる。痛いほど、その気持ち、わかります。
今日紹介したいのは、そんなあなたのための、一冊の本です。
『奇跡のリンゴ』。
これは単なる「すごい農家さんのサクセスストーリー」ではありません。僕たちが仕事や人生でぶつかる「どうせ無理だ」という常識をひっくり返し、ゼロから答えを見つけ出すための、最高の教科書なんです。
目次
なぜ、プロジェクト「無農薬リンゴ」は失敗し続けたのか?
この物語の主人公、木村秋則さんは、とんでもない挑戦を始めます。それは「無農薬でリンゴを育てる」ということ。
リンゴは、農薬なしでは虫や病気にやられてしまい、栽培は不可能。それが、この国の「常識」でした。
それでも彼が挑戦したのは、とてもシンプルで、愛のある理由からでした。奥さんが農薬で体調を崩してしまうのを見て、「奥さんの体に負担をかけたくない」と。そして、彼自身の「なんでも試してみたくて仕方のない」という、まっすぐな好奇心からでした。
彼は最初、農薬の代わりになるものを探す実験を始めます。お酢を撒いてみたり、砂糖を撒いてみたり。効果がなさそうに思える麦茶まで、ありとあらゆるものを試したそうです。
ですが、結果は無残なものでした。
何年もの間、リンゴの花は咲かず、収入はゼロ。貯金は底を尽き、周囲からは「あそこの家は貧乏神だ」と指をさされ、「かまどけし(家の財産を食いつぶす人)」とまで揶揄される日々。
なぜ、こんなにも妻を想い、必死に努力しているのに、プロジェクトは失敗し続けたのでしょうか?
それはきっと、彼が「リンゴ畑」という“当たり前”の枠の中だけで、答えを探そうとしていたからなのかもしれません。
答えは「観察」と「視点の転換」にあった
希望の見えない絶望のなか、木村さんは無意識に山へと向かいます。
その山で、彼は衝撃的な光景を目にするのです。
誰も農薬なんて撒いていないのに、山の木々は青々と、力強く育っている。虫に食い荒らされた様子もない。
「…なんでだ?」
その瞬間、彼は雷に打たれたような衝撃を受けます。リンゴ畑と、この山。一体、何が違うんだ?
彼はまるで野生の動物のように、山の土を掘り、匂いを嗅ぎ、ついには口に含んで味わい始めます。そこで気づいたのは、山の土の、ふかふかとした温かさと、豊かな生き物の匂いでした。
その時、常識を覆す一つの仮説が、彼の頭に浮かびます。
「もしかして、畑をきれいにするために良かれと思ってやっていた“草刈り”こそが、土の生態系を壊し、リンゴの木を弱らせていたんじゃないか?」
答えは、リンゴ畑の中にはありませんでした。全く別の成功事例である「自然の山」を、五感で徹底的に観察することで、彼はついに問題の根本原因にたどり着いたのです。
『奇跡のリンゴ』から盗む、明日から使える3つの仕事術
この本を読んで、僕は「挑戦を続ける覚悟」と「継続の大切さ」を改めて教わりました。もしあなたが今、何かを諦めかけているなら、きっとこの3つの考え方が突破口になるはずです。
① 前提を疑う力 木村さんは「雑草は敵だ」という農業の“当たり前”を疑いました。あなたの仕事で「これはこういうものだから」と、誰も疑わずにやっている作業はありませんか?「なぜ、これが正しいんだっけ?」と一度立ち止まってみる。そこから、イノベーションは始まります。
② 失敗をデータにする力 お酢や麦茶を撒いた数々の失敗。でも、それは無駄ではありませんでした。「これは違う」とわかること自体が、答えに近づくための貴重なデータなんです。うまくいかない時、それは「失敗」ではなく、「この方法は違うと学べた」という成功への一歩です。
③ 五感で掴む力 もし木村さんがデータだけを見ていたら、土の温かさや匂いに気づけなかったでしょう。パソコンの前で分析するだけでなく、現場の空気、顧客の声、製品の手触り。あなたの五感で「なにか違うぞ?」と感じる違和感こそが、本質を掴む最大のヒントになります。
もしあなたが今、分厚い常識の壁の前で一人、立ち尽くしているのなら。 この本が、あなたの背中をそっと押してくれるはずです。
「どうせ無理だ」なんて、誰が決めた?
その常識を疑う勇気を、この一冊から受け取ってみてください。
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