AIとデジタルの未来(オードリータン)

おはようございます。soichi04です。

今回は台湾の行政院の閣僚を務める、オードリータンさんの書かれた、オードリータンデジタルとAIの未来を語るを読みました。

お品書きは以下の通りです。

  • 台湾におけるインターネットの役割
  • SARSの経験を生かした新型コロナウイルスの封じ込め
  • AIとの付き合い方

この記事を見れば以下のことがわかるでしょう。

  • 台湾の5G普及方法
  • 新型コロナの封じ込めに成功した台湾
  • AIはあくまでも補助的な役割

それでは行ってみましょう。

目次

台湾におけるインターネットの役割

まず台湾のデジタル社会の大前提となるのが、”一人も置いていかない”というものです。これは社会主義的な考え方のように思えます。例えば昨今の新型コロナウイルスが原因で多くの学校や企業がリモートを使った授業、仕事を行いました。

その際台湾の都市部では問題なく4G回線が使用できていたのですが、問題は山岳部や田舎。場所によっては4g回線が通っておらずその地域に住む人は不公平だとされていました。

そこで新世代の通信規格である5Gの普及に際して台湾は山岳部や田舎からサービスを提供するようにしました。これによって4Gが浸透していなかった地域が少なくなり国民全体が同じ条件で暮らせるような仕組みを整えました。

ちなみに5Gというのは遅延がものすごく少ないという解釈です。例えば日本にいるアナウンサーとウクライナにいるキャスターがリアルタイムで会話するということを考えます。

すると日本の音声が届くのと、ウクライナの音声が届くのに大きな遅延が生じて少し会話するのが難しくなったり、不自然になったりするでしょう。

5Gではそれがなくなります。これが4Gと5Gとの大きな違いだと著者はいいます。

SARSの経験から学んだ台湾の新型コロナウイルスの封じ込め

台湾は新型コロナウイルスの対策において効果的な対策を行いました。結果としてほかの地域ではとらざるをえなかったロックダウン政策を行わずに感染拡大に歯止めをかけることができました。

ロックダウンを行うということは、その国は経済的な損失を被らなければなりません。普段外で働いていた人が働けなくなってしまうのですからGDPは減少する傾向にあります。

しかし、台湾では新型コロナウイルスで各国がGDPをマイナスする一方GDPの増加を示しました。

これはSARSの時の経験が大きかったといえます。

SARSの時台湾はマスクを全国民にいきわたらせるのに苦労しました。当時国はコンビニなどどこでも買えるショップにマスクを置いて、全国民の普及を狙いました。

一人の人が複数買い上げ内容にマスクは一人三枚までとしました。

そうした結果複数のコンビニを渡り歩いて、マスクを三枚ずつ購入する客が現れました。一店舗三枚までですがリアルタイムで相互に情報を交換できるようなものがなければ、ほかの店で三枚購入しているからうちでは売ることができません。とは言えないのです。

またマスクの普及も大きな課題でしたが、国民のウイルスに関する基礎的な知識もとても大切な要素の一つです。

例えば、家から帰ってきたら”せっけん”で手を洗います。これは手に付着したウイルスを死滅させることができるからです。水では洗い流せません。

僕もこれまで水で手を洗ったり、せっけんで洗ったりとまちまちだったのですが、せっけん洗浄の大切さをこの本で噛みしめ、これからは石鹸を使おうと決心する次第です。。

さらに政府の情報の一貫性のなさが目立ちました。総務省が言っていることと、厚生労働省が言っていることが違うようなものです。それぞれ違う立場による発言が国民を惑わせる結果になりました。

マスクの配布、国民の基礎知識の養成、情報の一貫性。これを新型コロナウイルスでは対策しました。

まずマスクの配布では一部の買い占めが横行して国民の4割にしかいきわたりませんでしたが、今回の新型コロナウイルスでは、日本でいう健康保険証みたいなカードでその人がすでに何枚のマスクを購入したのかが、共有できるような制度にしました。これによって90%近くの国民がマスクを買うことができました。

また国民の基礎知識と情報の一貫性ですが、台湾は新型コロナウイルスが発見されてからすぐに中央新型コロナウイルス対策局を設置してコロナウイルスに対する情報はここが一括して責任を持ち、国民に正しい情報を伝えるようにしました。

例えばマスクの配布にしても、厚生労働省が正しい対策ができるのはどんなマスクなのかを各企業に伝え、その企業が対策マスクを国土交通省にわたして、全国に配布する。

このように各部門間でも緊密なやりとりが求められます。このような関係のすり合わせにも一役買ったのが新型コロナウイルス対策局でした。

このような対策の結果台湾はロックダウンを行使せず、GDPの成長を果たし、防疫と経済を両方こなすことに成功したのです。

AIと私たちの関係について

著者は幼いころからプログラミングに携わり、インターネットやデジタル世界に関して深いかかわりを持っています。12歳の時には当時出たばかりのインターネットを通じて世界中の研究者とメールでのやり取りをしていました。

そんな著者が考えるAIの役割は人間を補助するものです。

2045年にはシンギュラリティと呼ばれる、AIが全人類の知能を凌駕し、人類はAIに知能面で勝てなくなるとした説があります。

その考えから、よく提唱されるのが人間はAIに取って代わられるんじゃないか、とするものです。

これを考えるにあたってAIと私たちがどのような関係なのかを再認識する必要があると筆者は言います。

例えばドラえもんとのびた君のような関係。ドラえもん(AI)はのびたくん(人)がちゃんと成長できるようにサポートします。ドラえもんがのびたくんの代わりに学校にいって、しずかちゃんの家に行ってクッキーを食べて、ジャイアンやスネ夫と野球をしたりはしません。

このような関係性だといいます。また別の例を出してみましょう。

今度は私たち(人)と自転車(AI)の例を考えます。

自転車は私たちが行きたい場所にスムーズに移動することを可能にしてくれます。私たちがペダルを踏むとチェーンを回し、タイヤを回転させる。私たちのかわりに自転車が、山にいったり海に行ったり、近所のスーパーで買いものをしてくれるわけではありません。あくまでも私たち人間がペダルを踏むのです。

つまりAIにとってかわられるんじゃないかという心配よりか、私たちがどのようにしてAIを扱うべきかを考えるほうが優先だと著者は言います。

料理をする際では包丁は簡単に食材を切ることを可能にし、おいしい料理を作ることができる一方、人に向ければその人の命を奪うものになりかねない。

このように私たちの使い方のほうに大きな責任が伴うのです。

これからはさらに生活にデジタルの知識が普及するでしょう。私たちも新しい世代に知識的に劣ることが出てきます。オードリータン氏はデジタルの技術は”誰でも使えるように簡単で明瞭であるべき”としてます。

誰も見捨てないデジタル技術。彼の技術にお世話になることがあるかもしれません。私たちが新技術に疎い世代になったとしてもこのような技術者がいる限り、世代間デジタル格差みたいなものは減少するでしょう。

今後のデジタルの未来に期待して、それでは!